「順調に進んでいるはずの新規事業」が消えた日

これからお話をすることは、私がサラリーマン時代の実体験です。

「順調に進んでいるはずの新規事業」が消えた日

あるとき、某ERPメーカーの商品を扱う会社から、1人の営業が転職して入社してきました。

会社はちょうど、新しい事業の柱を探している時期でした。
その営業はERPビジネスの経験があり、案件も持っているという話でした。

会社としては大きな期待を寄せました。
設備投資を行い、人材の確保も進め、新規事業として本格的に取り組む準備を整えました。

営業からは、順調に案件が進んでいるという報告も上がっていました。
会社としては、「新しい事業の柱になるかもしれない」と期待していました。

しかし、ある日突然、その営業は退職してしまいました。
退職理由もはっきりしないままでした。

しばらくして、後任の担当者が決まりました。
お客様への挨拶と案件の引き継ぎのため、訪問を始めたときです。

そこで、信じられない事実が分かりました。

その営業が「進んでいる」と報告していた案件は、
実在しない案件だったのです。

つまり、会社に報告されていた案件は、すべてウソだったのです。

「なぜ、そこまで会社をだますことができたのか」
「なぜ、会社は気づくことができなかったのか」

振り返ると、大きな原因の一つは
営業が完全に属人化していたことでした。

案件の情報はすべてその営業の中にあり、
会社として実態を確認できる仕組みがなかったのです。

もし営業プロセスが共有され、
案件の進捗が組織として見える状態になっていれば、
もっと早く異変に気づけたかもしれません。

営業の属人化は、
「成果を出している間」は問題として見えません。

しかし、いったん問題が起きたとき、
会社に大きなリスクをもたらします。

このような出来事は、
決して特別な会社だけで起きる話ではありません。

営業が属人化している会社では、十分に起こり得ることなのです。